はじめに
家庭用空気清浄機の空気清浄機能は、PM2.5等の大気汚染対策や花粉対策、またコロナ以降においては特に感染対策としても注目されている。
この空気清浄機の集じん試験法として、国内ではJISC9615、JEM1467、性能評価指針としてJACA No.50がある。
海外では米国のANSI/AHAMAC-1、中国のGB/T18801、韓国のSPS-KACA002-132等と国ごとに異なる規格があり国際的な評価方法が確立されていなかった。
そのような状況であったが、2024年1月に新しい国際規格としてIEC 63086-2-1:2024が発行された。
この空気清浄機の集じん試験法として、国内ではJISC9615、JEM1467、性能評価指針としてJACA No.50がある。
海外では米国のANSI/AHAMAC-1、中国のGB/T18801、韓国のSPS-KACA002-132等と国ごとに異なる規格があり国際的な評価方法が確立されていなかった。
そのような状況であったが、2024年1月に新しい国際規格としてIEC 63086-2-1:2024が発行された。

空気清浄機の集じん性能は粒子状物質の粒子径範囲に左右される。そのためIEC63086-2-1:2024では粒子径範囲を4種類(Ultrafine、Fine、Medium、Coarse)に分類し、それぞれに対応した試験方法が記載されている。
IEC63086-2-1:2024では、空気清浄機の性能を比較する為にCADR(Clean Air Delivery Rate)という指標が用いられており、このCADR値から空気清浄機を使用する際の適用床面積が算出される。
*CADR値が高いほど、空気清浄機の性能が高いことを示している。
試験方法については以降で紹介。
今までの試験方法の紹介

国ごとに規格が異なるが、上記のようなチャンバー内にタバコを燃焼させ、発生した煙を用いて試験をしている。
これは、健康への懸念等もある為、新しい国際規格では発生粒子としてKClも採用されている。
IEC 63086-2-1:2024の試験方法

試験は左図のように
① バックグラウンドの計測
② 試験粒子の発生
③ 減衰の試験
の項目に分けて行う。
①バックグラウンドの計測
・チャンバー内をバックグラウンド粒子数になるまで浄化し粒子数濃度を計測する。
計測装置、試験エアロゾル及び異なる粒子径範囲の最大バックグラウンド粒子数濃度

②試験粒子の発生
試験粒子の発生

初期粒子濃度に達するまで、試験粒子をチャンバーへ供給する。
③減衰の試験
自然減衰(空気清浄機を運転しない)の濃度を計測する試験と
空気清浄機を運転した際の濃度を計測する試験を実施する。
Ultrafine試験用計測装置


凝縮粒子カウンター 375xシリーズ
【特徴】
核凝縮という独自の技術でナノ領域の微小粒子を測定
リアルタイムに粒子の個数濃度を検出
数nm~3 μmまで計測可能※
高濃度(107 個/㎝³)まで計測可能※
※モデルにより異なる
Fine試験用計測装置


走査式モビリティーパーティクルサイザー
SMPSシリーズ
静電分級器(DMA)と凝縮粒子カウンター(CPC)を組み
合わせることで粒径別の個数濃度(粒径分布)の計測が可能
【特徴】
粒径精度が100 nmで1 %以内※
1~1000 nmの粒径範囲を計測可能※
1~10⁷ 個/㎝³までの濃度範囲に対応※
粒径分布計測装置のリファレンス
※モデルにより異なる
SMPS原理(CPC)

CPCは凝縮液(アルコール、水)を用いて、パーティクルカウンター(OPC)では計測が難しいナノ粒子をリアルタイムに計測可能な装置である。
・核凝縮という独自の技術でナノ領域の微小粒子を計測
・リアルタイムに粒子の個数濃度を検出
・単体では粒径情報を得られないが、DMAとの組み合わせによりSMPSとして使用可能
SMPS原理(DMA)

静電分級器(DMA)は多分散エアロゾルの中から単分散エアロゾルを高精度で分級抽出可能な装置である。
①のサンプル粒子(多分散)がサンプルフローとともに
DMA内に導入される。この時、サンプル粒子は中和器を
通して平衡帯電状態である必要がある。
サンプル粒子は②のシースエアと合流し、DMA下流側へ
移動する。
DMA内部の③の高電圧ロッドには可変電圧が印加されている。
正の電荷を持ったサンプル粒子は中央にある負の高電圧ロッドに引き付けられながら移動する。この時、電荷を持たない粒子はそのまま外壁に沿って移動、④の排気ポートから排出される。また負の電荷を持った粒子はロッド電圧からの反発力を受けながら移動し外壁に付着し捕集される。
高電圧ロッドに印加された電圧に応じた移動度を持つ粒子のみが、ロッド下部にある⑤のスリットに導入され、⑥の単分散サンプル出口から取り出される。③の高電圧ロッドの印加電圧を変えることで、スリットに導入される粒子の粒径を変えることができる。

高濃度対応パーティクルカウンター OPS3330
リアルタイムに0.3 μm~10 μmの粒径分布計測が可能
【特徴】
0.3 μm~10 μmの粒径分布の計測が可能
最大3,000 個/㎝³の個数濃度の計測が可能
最短1 秒からのサンプリング

高分解能電子式低圧インパクタ HR-ELPI+
リアルタイムに6 nm~10 μmの粒径分布計測が可能
【特徴】
6 nm~10 μmの幅広い粒子計測
最短0.1 秒ごとのデータ収集
Ultrafine・Fine試験用発生装置(ラスキンノズル方式)


エアロゾル発生器 PLG1000(KCl発生)
【特徴】
小型で軽量且つ強固な設計
低メンテナンス
操作が簡単

バッテリー式エアロゾル発生器 PAG1000 (KCl発生)
【特徴】
内部バッテリーで約6時間の稼働が可能
使いやすい操作性
本体が小型設計(5 kg )のため持ち運びが容易
オプション

ディフュージョンドライヤー 3062
発生した粒子の水蒸気を乾燥・除去
【特徴】
粒子ロスを最小限に抑える設計
出口での湿度RH20%
※入口がRH60%の場合
Ultrafine・Fine試験用発生装置(アトマイザー方式)


エアロゾルアトマイザー 3079A(KCl発生)
【特徴】
大量発生が可能なので初期粒子濃度に達する時間を短縮
取扱いが容易で簡単操作
ジェット数を変更し発生量を制御可能

コリソンネブライザー(KCl発生)
【特徴】
大量発生が可能なので初期粒子濃度に達する時間を短縮
取扱いが容易で簡単操作
ジェット数を変更し発生量を制御可能

1jetエアロゾルアトマイザー 9302(KCl発生)
【特徴】
小型でシンプルな構造
取り扱いが容易で簡単操作
オプション

ディフュージョンドライヤー 3062
発生した粒子の水蒸気を乾燥・除去
【特徴】
粒子ロスを最小限に抑える設計
出口での湿度RH20%
※入口がRH60%の場合
発生器の発生原理(ラスキンノズル・アトマイザー)

【ラスキンノズル】
加圧エアをノズルから液中に噴
霧し、液をバブリングすること
で液滴粒子を発生させる。

【アトマイザー】
供給された加圧エアは細いオリフィスにより
高速な気流となる。この気流により、陰圧が生じ
その下部にある容器から液滴が吸い上げられ
気流に乗って噴霧される。
Medium・Coarse試験用計測装置


APSスペクトロメーター Model:3321
粒径別の個数濃度(粒径分布)のリアルタイム測定が可能
【特徴】
0.5~20 μmまでの粒径分布の計測が可能
トータル52 チャンネルの高い分解能
オプション

APS用希釈器 Model:3302A
【特徴】
100:1又は20:1の希釈が可能
電源/エアー源の必要無し
Medium試験用発生装置


エアロゾルジェネレーター RBGシリーズ
【特徴】
ISOダスト、JIS試験用粉体の発生が可能
発生方式:ロータリーブラシ式
発生粒子径:0.1~100 μm
(粉体による)

エアロゾル中和器 CD-2000
帯電したエアロゾルを中和し配管等輸送に伴う付着ロスを低減
【特徴】
固体、液体どちらのエアロゾルにも対応
陽イオン、陰イオンの両極性方式
放射線源を含まずにエアロゾルを中和
空気清浄機の性能評価に適した計測機器は 東京ダイレックにご相談ください
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TEL:03-5367-0891 Mail:info@tokyo-dylec.co.jp