吸入曝露実験に用いられる各種装置のご紹介

吸入実験

医薬品がヒトに対する有効性と安全性を評価または、新規開発の化学物質/日常環境中・労働環境中に存在する化学物質の毒性評価には、各種の動物実験が行われます。動物実験の主要な方法の一つに吸入曝露実験があります。この実験は試験物質を、呼吸器系を通して投入する方法です。

吸入曝露実験装置の構成は、左図に示す実験方法等が用いられます。本資料では、エアロゾル発生装置、エアロゾル計測装置及び粒子捕集器を紹介致します。

エアロゾル発生装置

エアロゾル発生手法の種類

直接合成法
気中で生成させた試験エアロゾルを、直接吸入試験に供給する方法

乾式分散法
乾式分散法は、高速気流、固体・粒子との衝突・摺動、振動などの機械的な力を乾燥粉体に加えて粒子を分散し、気中に飛散させ試験エアロゾル粒子を発生させる方法

湿式分散法
試験粒子を分散させた液を、液滴として気中分散し、さらに乾燥させることによって、試験エアロゾル粒子を得る方法

ナノ材料の安全・安心確保のための国際先導的安全性評価技術の開発:
ナノ材料毒性評価のための吸入暴露試験用エアロゾル発生手法に関する技術解説書より抜粋

乾式分散法のエアロゾル発生装置

乾燥粉末エアロゾル用陽圧吸入曝露システムの概略図



粉体エアロゾルジェネレーターRBGシリーズ

・非凝集性粉体を明確に特徴づけられた分散が可能
・時間当たりの粒子数に関して一定の出力を保持
・低~高供給レートに対応、質量発生率及び質量濃度を算出可能
・間欠運転可能
・優れた再現性
・軽量、小型で扱いが容易
・リモート制御・耐圧仕様あり


湿式分散法のエアロゾル発生装置

液体エアロゾル用陽圧吸入曝露システムの概略図

コリソンネブライザー

仕様
幾何標準偏差:< 1.5μm
発生流量: 4 ~ 50 L/min
モデル:MRE型(Microbiological Research Establishment)
1 & 3 & 6 ジェット(垂直または水平方向発生)
24ジェット(水平方向発生)
NSF型(National Sanitation Foundation)
1 & 6 ジェット(水平方向発生)

CSS練習


・垂直または水平方向の粒子発生
・多様な液体を効率的エアロゾル化、広い粒径範囲を発生可能
・高圧・高温条件での発生は、安全性・耐破損性に優れたポリカーボネート製、ULTEM製、ポリサルフォン製ジャー※、
 特別な用途でステンレススチールジャー※があり
・ジャーの底に5mlウェールがあるPrecious Fluids Jar※を利用することで、高価または入手が困難な材料を発生可能
・外部充填アダプタ※を通じて、液体を発生中に補給することが可能になり、エアロゾルを中断無しで発生可能
※オプション

Collison NebulizerはBernoulli原理を利用し、液体をエアロゾル化します。空気がネブライザーの小さなオリフィスを高速で通過すると、液体がネブライザーのジャーから吸引され、小さな液滴に分割されます。噴霧された液体はジャーの壁に衝突し、さらに小さな液滴となります。より大きな粒子は、特別に設計されたトラップ又は湾曲の出口管によって除去されます。

湿式分散法のエアロゾル発生装置

ブロースタインアトマイザー Blaustein Atomizer (BLAM)

発生粒径:約0.9 ~ 2.5 μm(材料による)
発生流量:8 ~ 50 L/min
モデル:8ジェット

・コリソンネブライザーや他の発生器より効率的にエアロゾルを発生
・2つの発生モードを有し、 ワンパスモードは外部から液体を供給可能、再循環モードは被験物質が使い尽くされるまで周期的に再循環噴霧
・1ジェットモデルは、5つの交換可能なネブライザー機能のプレートがあり、プレート交換によって、特定粒径範囲と出力濃度のエアロゾルを生成
・粒子濃度が高く、呼吸可能なカットオフの範囲内に収まる狭い分布のエアロゾルを生成
・エアロゾル中のバクテリアやウイルスの生存率を高めて発生するため、エアロバイオロジアプリケーションに適する
・水ベースの溶液や殺虫剤、オイル、その他の粘性液体懸濁液などの溶媒ベースの混合物など、さまざまな液体媒体の処理に適する

湿式分散法のエアロゾル発生装置

エアロゾルアトマイザー (3079A)

仕 様
発生粒径:0.2~1 μm(エアロゾル材料による)
粒子濃度:>108 個/cm3
発生流量:最大 5 L/min

・粒径分布及び個数濃度を安定発生
・LDV(Lopinavir/ritonavir)薬剤、DOP、DOS、NaCl(多分散)、 PSL(単分散)粒子等さまざまなエアロゾル発生が可能
・軽量・小型で、且つ強固な設計
・低ノイズの小型コンプレッサ内蔵で取り扱いが容易

装置に内蔵された小型コンプレッサーよりエジェクターノズルに加圧エアーを供給すると、ノズル部に吸引圧が生じ、ガラス内の溶液が吸い上げられます。この溶液が内壁に勢い良く吹き付けられます。この時大きな液滴はインパクター方式にて除去され、安定した微小なエアロゾル粒子のみが出口を通って発生されます。
NaCl水溶液、又は液体に溶媒を混ぜれば、より微小なエアロゾル粒子を発生することも可能です。



6-JETエアロゾルアトマイザー (9306)

発生平均粒径:0.3 μm (DOPの例、エアロゾル材料による)
幾何標準偏差:< 2 μm
粒子濃度:>106 個/cm3 
(エアロゾル材料と使用するジェット数による)
発生流量:(アトマイザージェット1基当たり 6.5L/min~12L/min)
     ×ジェット数

・DOS、DOP等オイル、NaCl等溶液、PSL等縣濁液のさまざまな液体の粒子を安定発生
・1~6のアトマイザージェットを選択でき、エアロゾル濃度の制御が可能

図1はアトマイザージェット1基だけを示しており、同一の構造のものを6基搭載しています。加圧エアーが供給されると、ジェット部に陰圧が生じてエアロゾル材料液が吸い上げられ、球状インパクターに向かって勢いよくミストが吹き出します。大きな液滴は除去されて、インパクターから微小なエアロゾルが出ます。さらに希釈用エアーは供給され、エアロゾルと混合して、アウトレットチューブから希釈されたエアロゾルが出ます。
図2中のAtomizer Control Valvesは、1ジェット、2ジェット、3ジェット用があります。この組み合わせで1~6基まで使用するアトマイザージェットの数を選択できます。液の残量は透明の窓から確認できます。Dilution Systemの流量計下部にあるバルブを開けば希釈用エアーが供給されます。

発生装置製品一覧:https://www.t-dylec.net/purpose/03_use_09/

エアロゾル粒径分布計測装置

代表的な気中粒子計測器の評価径

粒子の大きさ(粒度、particle size)を一次元の数値、すなわち長さで示したものを粒子径といい、縮めて粒径といいます。通常、粒子は集団で存在し、その大きさには分布があります。これらの測定においては粒子の形態や粒径範囲、要求される測定精度などに応じて様々な手法の装置が利用されます。動作手法・原理と対象粒子、得られる相当粒径、おおよその適用可能粒径範囲などについて下記の表1)に示しています。

1) 櫻井 博, 2005, 粒子の気中個数濃度と粒径分布の計測技術と標準、産総研計量標準報告 Vol. 4, No. 1

エアロゾル粒径分布計測装置

高濃度対応パーティクルカウンター(Model OPS3330)
光散乱径計測

仕 様
粒径範囲:0.3 ~ 10 μm
粒径の種類:光散乱径
上限個数濃度:3,000 個/cm3 (3,000,000 個/L)
質量濃度:0.001 ~ 275,000 μg/m3
粒子径精度:0.5 μmにて5% (ISO21501-04)
チャンネル数:最大16チャンネル(ユーザ設定変更可能)
サンプル時間:≥1 秒(ユーザ設定変更可能)
流量:サンプル:1.0 LPM ±5%精度 (ISO 21501準拠)
        シース:1.0 LPM

・リアルタイムで粒子個数濃度と質量濃度を表示
・粒子屈折率・比重の変更も可能、さまざまなエアロゾル測定に適する
・5 %以内の粒径分解能 (@0.5 μm)
・高濃度(個数濃度3,000 個/cm3)まで検出可能

エアロゾル計測装置

エアロゾルスペクトロメーター(Model APS3321)
空気動力学径計測

仕 様
粒径範囲:0.5 ~ 20 μm
粒径の種類:空気動力学径
検出時間:1 秒 ~
分解能:トータル52チャンネル 濃度範囲:0.001 ~ 103 個/cm3
サンプル流量:5 L/min

・粒子径評価の基準となるACIと比較し、APS3321は非常に高い相関性がみられる1)
・高い分級能
・取扱いがしやすく、幅広い用途に対応
・各粒子の光散乱強度も同時に計測

1) Alouache A.I., Kellaway I.W., Taylor K. M.G., Rogueda P. 2006, “ Effect of fluoroalcohol on product performance in PEG-Phospholipid containing pressurized metered dose inhalers,” Poster presentation at Drug Delivery to Lungs (DDL-17) conference, Edinurgh, Scotland

走査式モビリティーパーティクルサイザーSMPS 3938シリーズ

仕 様
粒径範囲:3938シリーズ構成表参照
粒径の種類:モビリティー径
分解能 :最大128チャンネル / decade
サンプル濃度範囲:1 ~ 107 個/cc
計測時間:10 ~ 300 秒(ユーザー設定、自動連続計測)
流量
サンプル流量:0.2 ~ 5 L/min(ユーザー設定)
シース流量:2 ~ 30 L/min (ユーザー設定)
凝縮液:3938シリーズ構成表参照
インパクター:シングルステージインパクター(カット径は3タイプ)

・ISO15900:2009に準拠
・多種多様なナノパーティクルを測定可能
・高い分解能により、測定対象の粒径を細かく見分ける
・短縮化された計測時間:1回の粒径分布データを最短10秒で計測可能(時間はユーザーにて選択)
・ワイドな濃度範囲:1~107個/ccまで対応可能
・多様なユーザー設定機能:目的に合わせた流量を選択することで、一定の粒径範囲に焦点を絞った計測が可能。
 また、各構成装置を用途に応じて単分散粒子発生器や個数濃度計測装置としても使用可能

3938シリーズ構成表参照

計測装置製品一覧
https://www.t-dylec.net/purpose/02_use_02/

アンダーセンサンプラー(カスケードインパクター)

ノズルから工アロゾルを吸引・噴出して対向する平板などへ衝突させ、粒子を分離捕集するインパクターに属する粒子径分布測定装置で、多孔ノズルを直列多段にしたカスケードインパクターの一種です。各段の衝突板としては金属製円板を、最終段には絶対ろ紙(絶対濾紙)を用います。各段に捕集された粒子量は秤量によって求め、ふるい上分布(篩上分布)を得ます。1966年にA.A.Andersenによって考案され、医用、環境分野などをはじめ広く用いられています。
粉体工学用語辞典より

一般的にインバクターにおける慣性バラメーターは、エアロゾルの粒径とジェットノズルを通過する流速に対するノズルの断面積の比と定義されています。ジェットノズルの直径は下段になるにしたがって小さくなり、アンダーセンサンプラー本体上部の試料空気取り入れ口から一定流量で試料空気を吸引すると、各ステージにおけるジェット気流の速度は下段になるほど増大します。これによって、大きい粒子がサンプラーの上段、小さい粒子が下段に分級分離されます。



捕集装置



アンダーセンノンバーブルサンプラー (AN-200)

仕 様
粒径範囲:0.43~11 µm
粒径分類:8段階
吸引流量:28.3 L/min
     ※60 L/min、90 L/min仕様はご相談ください
材質:アルミニウム

・空気動力学径のエアロゾル粒径分布評価が可能
・多段・多孔式ジェットノズルを備えたインパクター方式を採用
・捕集可能なプレート
 ガラス製捕集板、ステンレス製捕集板、ろ紙
~物品・パーツの交換はお気軽にお問い合わせください~



7ステージカスケードインパクター

仕 様
ECDレンジ:0.29 ~ 5.15 µm
粒径分類:7段階
吸引流量:0.5 ~ 2 L/min
寸法:12.7 / 8.5(長さ、アダプターあり/なし)×4.45(幅)cm
重量:約1.0 kg
材質:SUS316

•業界標準
•高い信頼性
•簡単な操作、低メンテナンス
•乾燥粉末や低揮発性液体に適用
•ECD (Effective Cut-off Diameter)は、同梱された計算用データシートより計算することが可能



粒子計測に関する装置は東京ダイレックにご相談ください
※本資料はこちらをクリックしていただくとダウンロードできます。

TEL: 03-5367-0891 mail: info@tokyo-dylec.co.jp

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