環境中オイルミスト計測器の紹介

オイルミストとは

• 微粒子化して空気中に浮遊している油
• 工業機械に用いられる潤滑油が、その機械の稼動によって飛散されることにより生じる。機械の動きが高速であるほど、ミストの粒子は細かくなる傾向がある。
• 呼吸器系への悪影響がある為、作業現場ではマスクの着用や、オイルミストそのものを減らす工夫がなされている


製造業技術用語集より

オイルミストによる影響

● 健康への影響
皮膚や呼吸器系への悪影響などが考えられる

● 労働環境への影響
視界不良、床が滑りやすい、におい(悪臭、においが髪や服に付く)、オイル付着による空調効率の低下、といった問題が起こる

● 労働者確保への影響
昨今の人手不足と上記問題により敬遠されてしまい、必要な労働力が確保出来なくなるといった事が懸念されている

オイルミスト測定における濃度の違い

参考資料:オイルミストコレクター性能評価に適した計測機器の紹介

オイルミストに対する法規制(日本)

2020年1月現時点において、工場内オイルミストに対する法規制は無く、日本産業衛生学会より許容曝露濃度の勧告値が発表されている
(鉱油ミスト 許容曝露濃度:3 mg/m3

また、企業によっては自主的な目標値を定めている

オイルミストに対する法規制(米国)

米国における環境中オイルミストの許容濃度は値を定めた機関によって異なる。また、許容値におけるオイルミストのサイズなども異なっている。

出展:エアロゾル研究33巻(2018)4号 オイルミストの労働衛生に関する規制とその課題

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/33/4/33_217/_article/-char/ja


REL:勧告ばく露限界値(NIOSHが勧告するばく露限界で、物質の健康影響を根拠とした許容値
TWA:Time Weighted Average 通常1日8時間、週40時間での許容値
TLV-TWA:Threshold Limit Values – Time Weighted Average 通常1日8時間、週40時間での許容値
厚生労働省 職場の安全サイト(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/kag_yogo.html)より

環境中オイルミストの測定法(公定法)

環境中オイルミストの測定方法としては以下手法がある

出展:エアロゾル研究33巻(2018)4号 オイルミストの労働衛生に関する規制とその課題

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/33/4/33_217/_article/-char/ja


→リアルタイムにデータを得られない。時間・手間がかかる為、日常管理としては使えない という課題がある


弊社に寄せられる相談

環境中オイルミストのリアルタイム測定法

粒子計測器(光散乱式等)を用いる事によって、環境中オイルミストのリアルタイム測定や日常管理が可能となる。
粒子計測器には下記特徴がある。

メリット
・リアルタイム(例:1秒毎)にデータ取得が可能
・継続的にモニタリングする事が可能
・操作性が良い為、誰でもデータ取得が可能


デメリット

・公定法ではない(公定法と比較、相関を取っておく事で精度を上げる事が可能)
・オイルミストだけの計測は出来ない(その他の粉じんも一緒の計測となる)
・コストが高い

粒子計測器を使用する際のその他注意点

• 温度・圧力条件の確認
測定器には常温・常圧使用に限定された物が多い為、サンプルが高温や高圧の場合、一度、常温・常圧に落す必要がある
一部、高温や高圧に対応している装置もある


• ナノ~ミクロンまでの範囲を測定する場合、2つの測定器を組合わせる必要があり、測定原理の違いに注意が必要
一部、同じ測定器でナノ~ミクロンまでの測定に対応している装置もある


• 高濃度や粘性の高い粒子測定の場合、装置汚染や故障の可能性が高まる為、定期的なメンテナンス、希釈器の使用等が必要となる事がある
一部、ユーザーがクリーニング及び簡易校正が行える装置もある

日常管理等、環境モニタリングに適した測定器

PALAS社製 AQ Guard(室内用)
・質量濃度の連続測定が可能
・粒径範囲:0.175~20 μm
・対応濃度:Max.20 mg/m3
・PM1、PM2.5、PM4、PM10、TSP、総個数濃度(CN)、VOC、CO2
 同時計測
・空気質指数(空気の汚染度)を算出表示
・ PM2.5、PM10、 VOC、CO2測定値から算出

TSI社製 エアロゾルモニター
DustTrakⅡ Model:8530/8532

・質量濃度の連続測定が可能
・粒径範囲:0.1~10 μm
・溶接ヒューム等の高濃度測定にも対応(Max.400 mg/m3
・小型軽量、高い操作性
・インパクタ交換で簡単にPM1、PM2.5、PM4、PM10
の切替が可能
・アナログ出力機能有り※8530のみ
・装置内部にφ37 mmフィルターセットが可能※8530のみ



詳細把握に適した測定器 サブミクロン~ミクロンサイズ

TSI社製 APSスぺクトロメーター
Model:3321
・粒径別の個数濃度(粒径分布)のリアルタイム測定が可能
・粒径評価:空気動力学径
・粒径範囲:0.5~20 μm
・分解能:トータル52チャンネル
・オイルの汚れ具合による粒径評価の影響を受けない
・現場の粒子濃度によっては希釈が必要



TSI社製 オプティカルパーティクルサイザー(OPS)
Model:3330
・粒径別の個数濃度(粒径分布)のリアルタイム測定が可能
・粒径評価:光学径
・粒径範囲:0.3~10μm
・分解能:トータル16チャンネル
・高濃度対応:MAX.3000 個/cm3
・小型軽量、高い操作性、バッテリー駆動
・オイルミストコレクター性能評価にも活用可能

PALAS社製 エアロゾルスペクトロメーター Welas Promo
・粒径別の個数濃度(粒径分布)の測定が可能
・光学径で評価
・粒径範囲:0.2~40 μm
・高濃度対応モデルあり(Max.1,000,000 個/cm3)※
・高温対応モデルあり(Max.250 ℃)※
・高圧対応モデルあり(Max.10 bar)※
・オイルミストコレクター性能評価にも活用可能
・ユーザーメンテナンス(清掃、簡易校正)が可能
※センサー種類による


詳細把握に適した測定器 ナノ~サブミクロンサイズ

TSI社製 走査型パーティクルサイザー SMPSシリーズ
・ 粒径別の個数濃度(粒径分布)のリアルタイム測定が可能
・ナノ粒子測定(粒径分布)の標準機として世界中で使用
・粒径評価:モビリティ径
・粒径範囲:1~1000 nm ※
・分解能:128 ch/decade
・粒径精度:100nmで1%以内 ※
※ 装置組合せ、測定条件による


TSI社製 走査型パーティクルサイザー Model:3910
・粒径別の個数濃度(粒径分布)のリアルタイム測定が可能
・粒径評価:モビリティ径
・粒径範囲:10~420 nm
・分解能:トータル13チャンネル
・小型軽量、バッテリー駆動
・細かい設定不要、誰でも簡単に操作可能


詳細把握に適した測定器 ナノ~ミクロンサイズ

TSI社製 凝縮粒子カウンター(CPC)
・ナノ粒子測定(個数計測)の標準機として世界中で使用
・粒径範囲:1 nm~3 μm※
・粒径情報は不明。総個数濃度を計測
・高濃度対応、数nm対応とラインナップ多数有り
※装置モデルによる

DEKATI社製 電子式低圧インパクタ
ELPI+シリーズ
・粒径別の個数濃度(粒径分布)のリアルタイム測定が可能
・粒径評価:空気動力学径
・粒径範囲:6 nm~10 μm
・高温対応モデルあり(Max.180 ℃)
・分解能:14チャンネル※
・測定と同時に粒径別捕集が可能
 ハンディ型CPC
※高分解能モデルもあり


参考情報 その他の浮遊粒子に対する基準

大気環境中のPM2.5濃度の基準値

ナノ材料の許容ばく露濃度

出展:産総研_安全科学研究部門 – – 持続可能な社会実現に向けた評価研究部門 | 産総研 AIST RISS https://riss.aist.go.jp/

参考情報 粒子径別の通過率

出典:エアロゾルペディア
https://sites.google.com/site/aerosolpedia/yong-yurisuto/jian-kang-ying-xiang/15
※ISO 7708:1995を基に、編集された図

参考情報 重量、個数、及び表面積評価

参考情報 粒子径評価の種類

*幾何学径以外の評価は、真球と仮定した評価径となる

参考情報 各粒子径評価について

○ 光学径 粒子に光を当て、その光散乱強度からを求めた粒子径粒子の形状や色に影響を受けやすい
気中パーティクルカウンターなど

○ モビリティ径 粒子の荷電力を利用し、電気移動度から求めた粒子径表面積に影響を受けやすい
SMPSなど(ナノ粒子計測など)

○空気動力学径 粒子の慣性力から求めた粒子径。サイズ・比重に大きく影響される
サンプラーなど(PM2.5など)

○ 幾何学径 粒子の幾何学的に計算した粒子径。形状に影響を受ける
電子顕微鏡など

○ ストークス径 粒子の沈降速度から求めた粒子径。液中計測が主


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