カーボンナノチューブ(CNT)の特徴
炭素で出来た粒径がナノメートルサイズの円筒状物質である
・軽量
・高強度
・高い導電性
・熱伝導性
などに優れたナノ素材であり、様々な分野への応用が期待されており世界中で活発に研究が進んでいる
形状としては
・単層~多層と様々な形態のCNTがある
・粒径が数nm~100nmほど
・長さが数μm~数十μmほど
・高アスペクト比である
ナノ粒子の特徴
・粒径:1~100 nm
・重量が小さい(単位重量当たりの個数や表面積は大きい)
・毒性が懸念されている(物質固有、サイズ特有)
・一次粒子径が数 nmの粒子であっても、短時間で凝集し、サブミクロン~マイクロサイズへ成長する場合がある
その為、ナノ粒子の影響を調査するには、数 nm~数 μmのワイドレンジな粒子計測が必要である
ナノ材料に対する国内の動向①
①経済産業省
・平成22年3月
「ナノマテリアル情報収集・発信プログラム」を発表
http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/files/nanomaterial/100331nanosummary.pdf
②厚生労働省
・平成21年3月
「ナノマテリアルに対する暴露防止等の予防的対応について」を発表
作業環境中のナノマテリアル等の濃度の把握→ナノサイズの計器(SMPS、CPC、粒子表面積計)
http://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-50/hor1-50-8-1-0.htm
③環境省
・平成21年3月
「工業用ナノ材料に関する環境影響防止ガイドライン」を発表
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=13177&hou_id=10899
ナノ材料に対する国内の動向②
NEDOプロジェクトの概要
・名称 「ナノ粒子特性評価手法の研究開発」
・実施期間 2006年6月~2011年2月
・予算規模 約20億円(5年間総額)
・プロジェクトリーダー 産業技術総合研究所 中西準子先生
・成果 「ナノ材料リスク評価書」を作成(3種のナノ材料)
・カーボンナノチューブ(CNT) 許容暴露濃度:0.03mg/m3
・フラーレン(C60) :0.39mg/m3
・二酸化チタン(TiO2) :0.61mg/m3
http://www.aist-riss.jp/main/modules/product/nano_rad.html
ナノ材料に対する国内の動向③
平成27年6月 厚生労働省労働基準局「平成27年度化学物質のリスク評価検討会(有害性評価小検討会)」
がん原性指針を策定すべき と結論された
今後は、作業環境測定の方法、使用すべき保護具に関しても検討が進んでいく予定
※IARC(国際がん研究機関)の評価では、MWCNT(MWNT-7)はグループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)とされている
ナノ材料に対する国内の動向③ つづき
平成28年3月 特定のカーボンナノチューブが「がん原性指針」の対象物質に追加された
これによって対象物質のばく露を低減するための措置を講じる必要が生じ、作業環境管理及び作業管理、作業環境測定が必要となった。
作業環境測定は、
ア 屋内作業場について、対象物質の空気中における濃度を定期的に測定すること。なお、測定は作業環境測定士が実施する事が望ましい。また測定は6月以内ごとに1階実施するよう努めること。
ウ 作業環境測定の結果の記録を30年間保存するよう努めること。
しかし、結果の評価を行う為の指標となる値を定めていないため、結果の評価等については規定していない
参考許容暴露濃度:0.03mg/㎥(日本NEDOプロジェクト)
:0.001mg/㎥(炭素として 米国NIOSH)
カーボンナノチューブの作業環境計測方法
2013年10月
技術研究組合 単層CNT融合新材料研究開発機構(TASC)
独立行政法人 産業技術総合研究所(AIST)安全科学研究部門(RISS)より、「安全性試験手順書」と「作業環境計測手引き」が公開された
http://www.aist-riss.jp/main/modules/product/nano_tasc.html
作業環境中のCNTの現実的な計測方法例として、下記方法が紹介された
①炭素分析によるCNTの定量(年に数回)
→フィルターサンプリングを行い、炭素分析を行う
許容暴露濃度との比較に有用
②小型・簡易なエアロゾル計測(日常的なチェック)
→ブラックカーボンモニタや光散乱式粉じん計でのリアルタイム計測
日常暴露管理、空間・時間分布の把握に有用
①炭素分析によるCNTの定量(年に数回)
● NIOSH法/IMPROVE法対応可
● OC灼熱炭化によるECの過剰評価をレーザー強度により自動的に補正
● OC/ECの検出限界値:0.2μg/cm2
● 高性能な内蔵型FID(水素炎イオン化検出器)
● 温度/時間設定可能
● Dual Opticsモデル:OC/ECを反射光/透過光で補正評価
● サンプルフィルタサイズを選択可(1.0cm2 or 1.5cm2)
● DustTrakで採取したφ37mmサンプルの分析が可能(熱分離法のみ)
カーボンエアロゾル分析装置 測定原理
ーOC測定ー
①サンプリング済みのフィルタを入れる。
②Heガス雰囲気下で酸化反応館を昇温
③フィルターに捕集された有機性炭素(OC)が参加反応管によりCO2に酸化
④発生したCO2はH2と共にNiを充填した反応管でCH4化され、水素イオン化検出器(FID)にて濃度換算
ーEC測定ー
⑤同一のフィルタ上のECを測定するため、H2/O2混合ガスを流した状態でOCと同じ工程を実施
カーボンエアロゾル分析装置 測定原理
分析の流れ
②小型・簡易なエアロゾル計測(日常チェック)
●ブラックカーボンエアロゾルをリアルタイムで測定
●測定原理はアセロメーターⓇの光学吸収法
●光源:波長880nm(赤外線)LED
●流量は50/100/150/200ml から選択
●測定時間は1秒/10秒/30秒/1分/5分から選択
●広範囲の測定レンジ 0-1000μg BC/m3
●バッテリーにより24時間連続運転可能
●5分間データで1ヶ月分保存可能
測定原理
②小型・簡易なエアロゾル計測(日常チェック)
●USBメモリーにより簡単にCSVファイルでの取り出しが可能
●TSP、PM10、PM4、PM2.5、PM1への切り替えも容易に可能
●立上げ後10秒程度で測定が可能
●0.001mg/m3(1μg/m3 )からの高感度測定(濃度上限 8530:400mg/m3/ 8532:150mg/m3)
●対象粒径範囲 0.1-10μm
●ディスプレイで経時変化(グラフ)を確認可能
DUST TRAKⅡ特徴
その他 ナノ粒子計測装置(ポータブルタイプ)
1.NanoScan SMPS 3910(10 nm-420 nm)
●簡易操作・小型化により場所を選ばず計測可能に!!
●ナノ材料の個数濃度と粒径分布を同時計測 (1分間/データ)
●放射線源を使わない為、管理が容易
●従来品に比べ非常に安価(1/3程度)
2.OPS 3330(0.3 μm-10 μm)
●ナノ材料(凝集体)の個数濃度と粒径分布を同時計測(最短1秒)
●高濃度対応!(0~3000 個/cc)
※一般的なパーティクルカウンターは100個/cc未満が多い
●検出部直下に捕集フィルタをセット可。→分析に使用可能
3.CPC 3007(10 nm-1000 nm)
●ナノ材料の個数濃度をリアルタイム計測(最短1秒)
●片手で持ち運び可能な為、どなたでも作業者近傍の計測が可能
●発生源の把握にも活用可能
ワイドレンジ粒径の簡易計測手法 #1
NanoScan SMPS モデル3910 + オプティカルパーティクルサイザー(OPS) モデル3330
【特徴】
• ワイドな粒径範囲を計測 10 nm ~ 10 μm
• ナノ材料の個数濃度と粒径分布を計測(1次粒子から凝集粒子まで同時計測可能)
• 簡易操作、バッテリー駆動、データロガー内蔵
• ポータブル型なので、より作業者近傍で計測可能
微粒子ハンドリング現場でのデータ例(粒子個数濃度の変動(NanoScanSMPS&OPS))
微粒子ハンドリング現場でのデータ例(個数基準粒子径分布(NanoScanSMPS&OPS) )
専用ソフトウェアを用いた2機種の一元管理(MIMソフト for NanoScanSMPS&OPS))
NanoScanSMPS+OPSを同時に制御し、データを一元管理できるソフトウェア
ワイドレンジ粒径の簡易計測手法 #2
携帯型凝縮粒子カウンター (CPC) モデル3007 + オプティカルパーティクルサイザー(OPS) モデル3330
【特徴】
• ワイドな粒径範囲を計測 (10 nm ~ 10 μm)
• 300 nm以下のナノ粒子はモデル3007で個数濃度を計測
• 簡易操作 – バッテリー駆動、データロガー内蔵
• ポータブル型なので、より作業者近傍で計測可能
• 発生源の把握、暴露管理対策の評価にも活用可能
ナノ粒子の簡易計測手法 #3
携帯型凝縮粒子カウンター(CPC) モデル3007 + パーティクルサイズセレクター(PSS) モデル376060
【特徴】
• 粒子の分級 - 拡散原理でナノ粒子を分級捕集
• ナノ材料の個数濃度を計測(100nm以下)
• 粒径選択可 - 拡散スクリーンの数で選択可
• 分級特性 - 高性能ではない
• 安価 - 研究用機器ではない
パーティクルサイズセレクター使用法
• 拡散原理で、下記カット径より小さい粒子をスクリーンに捕集
• 拡散スクリーンの数を変更することで分級粒径を変えることが可能
CNT作業環境計測については 東京ダイレックにご相談ください。
※本資料はこちらをクリックしていただくとダウンロードできます。
TEL: 03-5367-0891 mail: info@tokyo-dylec.co.jp